2021.11.22
阮嗣宗(阮籍)『阮歩兵詠懷詩八十二首』
其十六より
朔風厲嚴寒 陰氣下微霜
[全文]
徘徊蓬池上
還顧望大梁
緑水揚洪波
曠野莽茫茫
走獸交横馳
飛鳥相隨翔
是時鶉火中
日月正相望
朔風厲嚴寒
陰氣下微霜
覊旅無儔匹
俛仰懷哀傷
小人計其功
君子道其常
豈惜終憔悴
詠言著斯章
朔風(さくふう) 厳寒を厲(はげ)しくし
陰気 微霜(びそう)を下す
[訳]
北風が厳しい寒さをさらに強くし、陰気が霜を降らせる。
朔風=北風であるが、奸臣(かんしん)の例え。
下の句は『大戴礼』天円編の「陰気騰れば、束ち凝りて霜となる」による。
『文選』注では魏の王室の衰徴を示すと解釈している。
時節の厳しさを謳い、魏王朝が司馬氏の専横によって衰えたことを嘆いた気持ちが込められている。