茨城県 牛久市にて片付けのために書道具の買取をしました

茨城県 牛久市にて片付けで墨や中国書画などの買取をしました

お片付けの際には毎回お声がかっていますが、今回も買取の依頼がありお伺いしました。

数年前からずっと買取される業者を探していたらしく、正当なお値段で買取ってお喜びしておりました。

【油煙墨】と【松煙墨】
【油煙墨】
油煙墨の製法については、南唐の李廷珪が、はじめてその基を造り、実際には、宋の張遇が造ったといわれている。 唐墨では、油煙の原料として桐油をはじめ、麻子油、清油、猪油を用いているが、和墨では、麻油、菜種油、大豆油などの植物油を用いている。「古梅園墨談」には、 橙心の多少は問題でなく、むしろ橙数を少なくし、頻繁に煙を描く方が上質の保が採れる。 といっている。

①採煙:まず、油煙墨を造るには、油煙を採取しなければならない。採煙室は二間四方、高さ一間半位の煙室の一方に、二重戸の出入り口を設け、温度の一定化と通風を防ぐようにしてある。煙室内部の三方の壁に二段の棚を設け、その上に、土製の橙油皿、百個から二百個位を等間隔に並べる。胡麻油などを 入れた燃油皿に数本の燈芯を入れ、それに点火する。炎上した煤煙は、橙油皿の上にある円形で中くぼみのある土器皿に付着するが、一箇所に付着しないように、この皿を回転させ全体に付着させたうえ採取する。この作業を怠ると煤煙は灰となるので、大切な工程の一つである。短芯の数が少ないと 時間もかかり、採煙の量も少なくなるが、良質な水煙を採るためには、芯が細く二、三本位に点火して採取した方がよい。


②膠溶解:煤とともに、墨の原料となる膠を二重釜に入れて、長時間煮立て膠の溶液を造る。膠の溶き具合によっては、墨の良否にも大きな影響を及ぼすので墨工は苦心するところである。

③練り固め:精選された煤と膠及び香料を混合させ、手や足でよく練り固める。この時の合料割合や練り方次第で 品質の良否が決まる。

④型入れ:よく練り混ぜたものを、文字や模様を刻して造った木型に入れる。

⑤灰乾操:木型から取り出した墨は、まだやわらかく水分が多いが、これを木箱の中に新聞紙を敷き、木灰をかけて乾燥させる。第一日目は水分の多い灰に、二日目以後は少しずつ水分の少ない木灰に埋めかえていく。この灰乾燥は小型墨で一週間位、大型で二十日から一ヶ月、毎日くりかえし水分を取り除く。 これにより約七割の水分が取り除かれる。

⑥自然乾燥;灰乾燥を終えた墨は、ひし餅を藁で編むように一丁一丁編んで、半月から三ヶ月間位、自然乾燥させる。墨の大きさや温度の関係から十年、二十年と自然乾燥させることもある。

⑦磨き艶出し:自然乾燥を終った墨は、表面についている灰や汚を水で洗い、炭火で焙りやわらかくしてから、ハマグリの貝殻で光沢の出るまで磨く。

⑧彩色:磨かれた墨は、金泥、銀泥、その他の色を使って色付けをし、墨の完成となる。


【松煙墨】 かつて、唐墨では、松煙墨が最良とされ、和墨では、油煙墨が良質とされていたが、今日では、ほとんど松煙墨は造られず、油煙墨が大半を占めている。

採煙:原料である松を、無風の採煙室の籠で採取する。 松煙墨の製法も、採煙の方法は油煙墨と異なるが、膠溶解以後の工程はほとんど油煙墨と同一である。

【鉱物性油煙墨】植物性油煙墨だけでは足りない部分を、日本では、1920年代ごろから少ない労力で多量の墨が造れるように工夫した結果、鉱物性油煙墨の採取製墨が開発され実用化してきた。 原料には、軽油、重油、クレオソート、コールタール、アンソラセンなどの鉱物油を用いている。最初、採煙は松煙墨などと同じ方法を用いていたが、最近では、機械化の発達により自動的に採煙することもできるようになった。採取した煤煙は、油煙墨製法のようにして固形墨にしたり、または墨汁としても 広く使用している。 市販されている廉価な固形墨は、ほとんどこの鉱物性油煙墨であるが、光沢、墨色などは植物性油煙墨に及ばない。

【黒汁】 墨といえば、旧態依然とした製法で一丁一丁墨工によって造られているのであるが、磨かかずに使用できる墨汁が重宝がられ使用されている。 中国においては、この歴史も古く、墨汁を「墨蓋」と称し、金壺汁、 銀壺汁などがあったが、日本におい ても近年、開明墨汁、墨の精、墨滴などが一般に普及し、多く利用されている。墨汁の製法には二種類ある。一般に墨汁は、油煙、松煙煤を使用するよりは、カーボンブラック(石炭乾留の時発生する黒色素)と液状膠を配合して造ることが多く、その一つは、「墨を硯にかけて磨り、その墨液に防腐を施したもの」であり、 他方は、「煤とを主成分とした混成液で防腐したもの」である。

製墨の時期
墨の製造は、年中行なわれているものではない。良墨を造るためには原料、製法はもとより製墨の時期 が大きく左右するのである。仲将は「二月、九月」が最適といい、また「古梅園墨談」は「十月、十一月、二月」がよいといっている。 いずれも寒い時期を選んでいるのは、膠が腐敗しやすい気候、気温をさけているからである。製墨においては、気候、気温が大きな比重を占めるところであり、現在、日本では、十月中旬から翌年五月頃までをその時期にあてている。

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