<div class="layout-1"> <h1> 硯の見方<br> </h1> <p> 硯の石紋とは石に色々な模様や色がでる紋様の事で、硯の鑑賞に関して重要な要素である。<br> 石紋の出方で彫りが決まり、中国の文人などは硯に漢詩を当てはめ実用から芸術性を硯に見出していた。<br> 石紋はだいたいの分類が分かれてはいるが、判断が曖昧な部分があるので見る人の感受性が確かめられるものでもある。 </p> <hr> <h2> 石紋の種類<br> </h2> <p> <img alt="" src="https://koshodou.com/wp-content/uploads/2021/06/gyonoutou.jpg" style="width: 203px; height: 175px;"> <img alt="" src="https://koshodou.com/wp-content/uploads/2021/06/gyonoutou2.jpg" style="width: 252px; height: 175px;"> </p> <p> 魚脳凍(ぎょのうとう)<br> 魚の脳に似た白い色の斑のような模様。 </p> <p> 紋の出方による坑の識別<br> 火捺か胭脂暈の中にくっきりと白い紋が出ており、コントラストがある。:水岩坑<br> 白に少し青色が混ざり、ふわっとした色合い:乾隆期の大西洞<br> 蛤肚紋に似た、淡い黄と淡い褐色のような色が混ざったもの:明中期の水岩坑(清期にも少しある)<br> &nbsp; </p> </div> <p> &nbsp; </p>

硯 

文房四宝の中で、一般には硯が一番なじみやすく、また愛硯家も多い。筆、墨、紙は、一時の友であり消耗しやすいが、硯のみは終身の友となってくれる。一個の石塊であり ながら、見ているだけで心が静まり、幽玄の限りない世界へと導いてくれるのが硯であると「文房四譜」には書かれております。

また硯の字は研とも書かれており、後漢時代には「説文解字」には石の滑らかなりとあり、または研は磨くなりとある。「文選」の李選の注にも研は硯と同じであるから書かれております。所説いろいろとありますが、滑らかであり磨くのが硯であります。

硯は名硯ともいわれる端渓、歙州硯、澄泥硯から諸硯に至るまで、数多く存在しますまた硯の異名は数多くあり、筆の海、紫石、墨洞、心の湊、石のたより、石の使、袖中東海、見る石、魯石、 他銀、研間、測、研台、間以、亀首、竜尾、思判、馬暗、玉池、観田、観池、石郷侯、石友、石虚中、墨池などがある。 

さらに、硯自体の部分名称としては、墨を磨る部分を、硯の岡、墨堂、墨道といい、墨汁を蓄え凹んだところを、硯の他、硯の海、水池、墨高、硯沼という。また、硯の表部分を、硯面、硯の表といい、硯の裏の部分を、硯背、硯陰、硯の下、硯の底といい、硯の側面を、硯の側などと呼んでいる。

一口に硯といっても、唐硯、和硯とそれぞれ種類は実に多彩である。その種類は形、石材及び色などによって分けられます。色は同質の石でも実に複雑多様であり、形と石材を中心に記載します。 まず、形については一般に多く使用されている長方形をした長方硯をはじめとして、正方硯、円硯、鳳池硯、風字硯、圭標硯、竹節硯、瓦様硯、天然観、井田硯、太子硯、猿面硯、回文方硯、八稜鏡硯、月様硯、斧様硯、人面硯、荷葉硯、卵様硯、鏡硯、馬蹄硯などがある。 

石材
【唐硯】粘板岩石材としては、端渓石、歙州石、紅糸石、松花江緑石、福州石、蛮渓石、羅文石 

【和硯】粘板岩石材としては、雨畑石、岩田石、玄昌石、竜渓石、赤間石、鳳足石、高島石、金鳳石、那智石、太子石、嵯峨石、愛宿石、正法寺石、田の浦石、清流石、加茂川石、球磨川石、栖吉石

 【台湾】螺溪石

【朝鮮】鏡城石、海洲石、大同江石、渭原石

【加工岩やその他の用材】澄泥観、鉄硯、銅硯、木硯、陶硯、瓦硯、漆観、 玉硯玉

日本の硯の材質は、天然石及び泥、石の粉末を固めて焼いたものや鉄、銅、木、玉などがある。 しかし、硯は鑑賞愛蔵の一面もあるので、やはり実用の道具としての使命が本来の姿になります。したがって、 その材質は、磨墨に秀いでていることが第一の条件であり、さらに、優美であることである。 暦に優れている点から考えれば材質は石が最高である。古来より、著名な硯として、端渓、歙州(きゅうじゅう)、澄泥(ちゅうでい)はそのさいたるものとしているが、それ以外にも唐硯、和硯などそれぞれ石材の優れたものが沢山ある。 石の条件としては、石質が佳良で発墨の状態がよいもの。石として優美高尚なものを第一に考慮しな ければならない。

「和硯材」とは
唐硯と見比べると石質は劣りますが、それだけに廉価で求めやすく実用硯としてのものが多い。寛政七年の「和漢硯譜」の「日本研材」には 清滝石、鳴滝石、月輪石、鴨川石、石王寺石、虎斑石、紅梅石、馬蹄石、養老石、葡萄石、紫金石、金鳳石、藍石、雨端石、青石、瑠璃石、桜川石、豆斑石、玉川石、高田石、木葉石 墨石、黄石、溜石、衣滴石、寒水石、嶋石、白石、青雲石、内岩石、鏡石、高岩石、若御子石、高野川石 など。

雨畑石
「甲斐業記」に「七面山を西へ下れば雨畑村という処あり。 村西なる稲又山と言える処の谷より硯石を出す。之を雨畑という。禁山ゆえ、歓け落ちたる流石をとり、鬼ヶ島にて硯に製して売れり」とある。 かって雨畑硯は大量に採石され、実用硯として広く愛用されていたが、昨今ではその出量も少なく中には仙台の玄昌石を雨端と称している場合もある。雨端石は粘着性があり、紫黒色のものが最良とされるが、蒼黒色である。日常の実用和硯としては墨も磨りやすく、発墨の状態もなかなか良好である。

玄昌石
この石は旧藩主伊達氏が「玄昌石」と銘したといわれ、宮城県雄勝より採石されるところから「雄勝石」とも呼ばれている。御止山及び水中から採石して物の中には良硯を得ることもできるが、ほとんどは学童や日用硯として広く普及されている。石は青黒色及び灰黒色したものが多く、石質はやや、柔らかく使用にあたtっては堅質性の墨を使うことは避けたほうがいいとされている。この石はストレート質のもののため薄板にして敷石やタイルの代わりによく使われている。東京駅の屋根のふき瓦はこの玄昌石であり、また雄勝の街中では外装としてこの石を使われることがある。初心者の実用硯として廉値で求めやすいものとして広く利用されている。

赤間石
和硯としては古くから伝わっているものであり、山口県赤間関付近から算出し、海内硯材としては最も有名なものである。色は紫青色のものもあるが、ほとんどはs赤紫色であり、一旦端渓と見間違うほどのものもある。光沢があり石面は細潤で感触が実によく磨墨の調子による難点もあるので石質吟味は大切なところである。今日では実用硯としてよりは愛玩用としての方が多いが、初心者は端渓と間違える事があるので注意が必要である。

竜渓石
長野県から産出されるもので、色は青黒色のものが多く、玄昌石よりも磨墨の状態はよい。雨端硯の量産が限定された今日においてこれに代わる実用硯として普及してきている。竜渓硯は長方形のものが多いが、天然硯として自然の石面をそのまま生かしたものは少なくない。また他にに文鎮、盆石としても流用されている。

高島石
高島石は、滋賀県高島から産出し、色は黄味を帯びた淡黒色のものが多い。中には、黄緑色に青黒色の 斑点が点在するものもあり「虎斑石」とも呼んでいる。鋒鍵は弱いが荒いので磨墨は速い。かつては、宮中に献上し、その名声を博したこともあるが、現在では、ほとんど産出されていない。 

鳳足石 
福井県宮川より産出し、別名、宮川石・紅梅石とも称している。石色は紫赤色で鮮明優美なものである。 「雅遊漫録」に 若州の宮川は、日本の硯石に之に若くもの無し。端溪石之に敵す。濃紫にして潤精。 と高く評価しているが、今は、この石硯をほとんど見ることができない。 

桜浜石・文字ヶ浜石 
高知県から産出するもので、別名、土佐石・西寺衣石・衣滴石とも称している。 この石は、毎年一度、三月三日に海底から採石したといわれる。石色は淡青色で磨墨もしやすく発島の 状態も赤間石よりは遙かによい。 また、文字ヶ浜石も、桜浜石と同じ高知県栗御崎近辺の海底から採石される石で「島石」とも呼んでいる。 採石の時期も、同じ三月三日といわれている。石色は青墨色で磨墨もよいとされている。 しかし、両側とも現在ではその姿を見ることができない。 

嵯峨石・月輪石 
嵯峨石は、京都から産出し、和硯の中では一番古くから世に知られたものであり、別に、清滝石・鞍馬石・鳴滝石とも呼んでいる。 「現林史」には嵯峨石は山城に出づ。黒色なる者は勝れ、淡紅色なるものは劣れり。或人言ふ、石は愛宕山より出ず。 一に月輪石と名づく。とある。また、月輪石は、愛宕山から採石されるので「愛宕石」とも呼んでいる。 嵯峨石、月輪石とも石色は黒色で同質坑脈から採石され酷似しているので、よく見違えるところであるが、ともに石質は堅く磨墨の状態はふつうである。 

那智石
和歌山県那智滝付近から産出するもので「那智黒」とも呼んでいる。石色は真黒で光沢に富んだ石であるが、石質は堅く発墨もよくないので実用硯としてはあまり適さないとされている。その為に現在では土産用硯として、または碁石として多く用いられている。

石王寺石
丹波国石王子山から産出された「若王子石」ともいう。白筋の部分がより堅いために磨墨の状態がよくなく、実用としてよりは鑑賞硯として高く評価されている。

金属石
愛知県鳳来寺村から産出し「鳳来寺石」とも呼んでいる。石色は灰黒色で中には歙州硯のような金星、銀星の入った華麗なものもある。発墨もよいとされているが、現在市販されているものは竜渓硯などに類するものである。

太子石
茨木県袋田滝付近から産出され「小文慈石」とも讀んでいる。石質は雨端石よりはきめ細かく、光沢もあり、発墨は雨端以上とされている。ただ、石質がやや、柔らかい為に磨墨しにくくなるのが難点である。

正法寺石
岩手県黒石村の正法寺付近から産出するもの。石色が紫青色であることから「紫雲石」とも称されている。石質は、粗大であるが、磨墨の状態はなかなか良好である。 

その他、熊本県から鹿出される球磨川石、宮崎県の紅渓石、鹿児島県の冷泉石、岡山県の高田石、三重 県の伊勢赤石、岐阜県の川合石、新潟県の栖吉石、長野県の高遠石、静岡県の銀葉石、栃木県の光山石、 秋田県の大川石、対馬の若田石など全国各地で産出され、それぞれの石質石色の特徴を有し実用硯とし て、また土産用として用いられている。 

「朝鮮」「台湾」では

渭原石 
朝鮮から産出するものでは、渭原石・海洲石・大同江石・鐘城石などがあるが、中でも、この渭原石が 一番よく知られているものである。渭原石は、渭原郡渭原江の水底から採石されるものである。渭原石には三種類あり、紫色と緑色とが交互に重なっているものを「花草石」といい、端渓のように暗茶色のものを「葡萄石」または「渭原端渓」と呼び、さらに緑色のものを「青石」または「緑石」と称している。石質は堅く、磨観としてはあまり適さない。 

海洲石 
海洲石は、朝鮮蘇江の海底から採石されるもので「愛津石」とも称されている。 石色は、黄黒色、暗灰色、緑色などのものがある。石質は、粗大であるが磨墨の状題は、朝鮮硯中で一番良である。 

大同江石
平壌の大同江畔の山坑から出される。石色は、黒色、緑色、暗褐色などがあり、石質は堅いので高洲 石より高かに劣るものである。 城石一 朝鮮城付近から産出されるものである。 石色は、真黒で光沢があるが、海州石と比べると劣る。  

螺渓石
台湾から採石される石材で最も著名なものである。石色は黒色、小豆色、青色のものがあるが、黒色のものが最上とされている。磨墨の状態もよい。雨端硯に似ており実用硯として適したものとなる。 

良硯の見分け方
古くより、良硯は「磨墨発墨共に善く、而も筆蒙を担せざるを要す。之を第一義とす」といわれている。 良硯としての条件は、「硯の目的」、「材質」、「体式」、「彫刻」、「銘」、「伝来」などすべてが具備されてい ることである。 まず、硯の良否を選定するにあたり、「硯の目的」を考慮しなければならない。 陳介亭の「端石援」にはの「八德」を述べている。

第一 寒を歴て氷らざるは質の温なり。 
第二 水を貯えて耕せざるは質の潤なり。 
第三 研墨泡なきは質の柔なり。 
第四 発墨声なきは質の蹴なり。 
第五 停墨を浮ぶるは質の細なり。
第六 護って秀を加ふるは質の脈なり。 
第七 起墨滞らざるは質の潔なり。 
第八 経久乏せざるは質の美なり。 
と、温・潤・柔・蠍・細・脈・潔・美の八徳が大切で、良としての基本であることを説いている。 「材質」であるが、石材をはじめ、銅、鉄、瓦、陶磁など各種多彩である。しかし鑑賞・愛玩という立場を離れれば、やはり磨墨しやすく発墨のよいものということになる。 その条件にかなうためには、粒子が細徴で林立して強く、発墨がよいこと。 材質が適度に堅く、長く使用しても磨滅しないこと。 硯の材質の重さも適度でどっしりとした感じであること。 触感が良好で温測であり、水持ちがよいこと。 色彩が優美であることが発墨のよいものとされている。 

休式
一般に長方形のものが実用側として広く使用されているが、他種、雑多である。天然硯と称される自然の形を観にしたものから、正方形の四直にしたもの、円形の太憶呪 をはじめとして、風字硯、馬蹄硯、本硯、八稜硯、日月硯、竹節硯など、その体式は実に多い。

硯の手入れと保存法
一般に、石材、色調優良で感触のよいを名だという人がいるが、実際において、磨墨、発墨の状態 が最良でなければ名硯とはいいがたい。 また、いかなる名硯であっても、常に手入れをしなければ普通のと何ら変らないものとなる。 特に、実用は日頃の手入れが必要である。 
①洗硯し宿墨を除去しておくこと。 
②弱まったものは細かいで硯面をとぎ、常に平均に林立させておくこと。 
③硯の墨堂は、常に凹凸がないようにしておくこと。
④は傷がつかないようにし、いつも完全なものにしておくこと。 

いかなる名硯といえども、そのまま永い年月放置しておくと、大気中の塵や細菌がつき、それが もととなり斑点やシミの原因ともなり、さらには、風化作用をおこして硯本来の姿を消滅させてしまう。 次に、保管場所についても留意することである。湿気の多い所はカビや細菌を生じやすいし、直射日光 の当る所は硬質を硬化させ色調や光沢を失わせることにもなる。 また、愛玩のあまり、手で硯面にさわり、そのままにして置くと、手油のついた部分に塵が付着した上、 石質を変えることにもなるので、その時は、きれいな水で硯全体をよく洗い、やわらかな布で傷をつけな いようによく拭き取って置く。さらに、乾いたところでやわらかい布に包み木製の匣に入れた後、湿気 のない場所に保存して置くことが肝要である。  

関連用具
硯屏:硯屏は、机上の領の向う側に立てる衝立のことである。材質は、陶器、木、石、玉、漆器などがあり、 それには花鳥、山水、詩句など手のこんだ精巧な細工も   のが多い。今では、ほとんど用いることもない が、文房飾りなどで見るとなかなか風雅なものである。 
硯蓋:硯を使用しない時、塵などを防ぐためにしておく蓋のことである。材質は、硯と同質の石材や、紫檀、 漆器などを用いて造り、そこには文人趣味的な彫刻を施   したものが多い。 
水滴:墨を磨る時、側に水を入れる水指のことである。また、これには二種類ある。一つは「水中丞」といって 壷の蓋がない器である。使用する時、小さな匙で水を   くみ硯に入れるものである。もう一つは「水滴」といい、上や底に穴があいている水指しのことであり、材質は、玉、陶器、金属、朱泥など多種なうえに形も、  平凡なものから、動物などを型取ったものまで幅広く、文具監賞品としても心をたのしませてくれる器である。 
配匣:硯自体を入れるものや、筆、墨、文鎮など書道用具一式が入る箱のことである。材質は、紫檀、黒檀、堆朱などがあるが、わが国には、金時絵などの華麗な現   箱もあり珍蔵されている。  

 

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