2021.11.26
硯は石紋がきれいに出ているか、どんな紋が出ているかで良し悪しを判断する石の格を判断するには、「青花」をまず見るべきである。「寶硯堂硯辨」でも、天青に続いて石品と挙げている。また青花に付随して現れる「蕉葉白」や「魚脳凍」も良いだろう。硯愛好家の言うところでは、「青花」は硯石の精華であり、佳材の証であるいう。太陽光下で水に沈めた時に青花が浮かび上がるさまは生命力を感じさせて好ましいものである。
だが「寶硯堂硯辨」が説くのはあくまで老坑水巌においてだけである。青花は麻子坑や坑仔巌にも現れる。なので、青花が出ているからと言って、他の雑坑の硯石が老坑水巌に勝る、ということを意味ではない。
最近では、金線銀線や氷紋のあるをもって老坑水巌だとみなす傾向がある。また眼の出る端溪硯を珍重することもある。しかしながら金線や銀線は古くは石瑕として扱われた石品で、石眼も同様、削り取られてしまっていた時代もあった。金線、石眼に目を奪われすぎて贋物を掴まされないように気をつけるべきである。